日米欧で中国元切り上げの方向で圧力をかけることに合意したそうな。
と思ったら、やや旧聞に属するが第一生命経済研究所がどきどきするような糞論説を発表して、度肝を抜いている。バカなことだ。
レポートを取り寄せて読んでみたが、まあひどいものだった。記事の解説からも、中国元切り上げ問題が如何に間抜けな角度から切り取られているのかはよく確認できる。
唯一、中盤にある米中間の乖離率が20%台というのは恐らく正しい。まあ、そんなものだろう。財務省の試算では経済実態に比べて14%割安と言っている。ただし、米中の消費者物価指数に基づいている、というのがミソだ。言っておくが、消費者物価指数を尺度としてみると、実は日本円は10から15%ほど円高になる計算になるから、日中をドル決済ベースでみるなら約30%ほどは円は割高になっていることになる。ただし、日本円が割高なのは、戦後一貫して積み上げてきた貿易黒字が富としてアメリカにファイナンスされ続けているという構造的な問題を是正できないことによる。アメリカに対して資金の還流をやめたら、何事もないということはまずありえないし(ドル暴落どころじゃすまないんだろうな)、ソフトランディングになったとしても円ドル相場は50円台になるだろう。そのぐらい、日本はドルに依存して富を溜め込んでいると言うことだ。
日本のことはこの際どうでもいい。元切り上げが中国経済に悪影響を及ぼし、内需が低迷して日米の対中輸出が減少するという結論をこのレポートは出しているのだが、観点がずれている。
シンプルな話、中国の内需拡大に歯止めがかかり対中輸出が減少するから元切り上げはマイナスなのではなく、対中投資によって展開された中国沿海部の外資系企業の輸出が減少するから問題なのだ。よくよく見ると分かるが、中国の対米黒字、あるいは対欧黒字の実に69%が、日本、アメリカ、欧州、台湾、韓国の資本による合弁企業、外資系企業によって占められている。何のことはない、先進国が国内の工場を閉めて中国に移転して中国からモノをもってきているだけのことだ。ここで元切り上げをするメリットが先進国の間のどこにあるのか、という議論である。せっかく移転した中国の工場が元切り上げによって価格競争力を失ったりしたら非常に面倒なことである。
もともと、中国は豊富な労働資源に恵まれ、本質的に供給力過剰の経済だ。しかも、旧来の中国国営企業は生産性が低く、普通のやり方では成り立たない。だからこそ、中国の社会主義計画経済の名の下に国営銀行がこれらの企業へのファイナンスを続けているが、これは要するに慢性的な不良債権を抱えることを意味する。現在公表されている不良債権比率は四大銀行平均で20%を超える。これは、先日破綻したりそな銀行の比ではない。審査の体をなしていない。
それでも、中国は内需を拡大させなければならない。対中投資を増やし、マネーサプライを拡大することによって、何とか中国の沿海部で露顕しつつある失業問題を解決しないとならない。中国のマネーサプライは、公表ベースでさえ前年比で25%も伸び、人民元融資残高もほぼ同率増えた。まるで、プラザ合意が成立する前夜から、日本が有り余ったフローを株式や土地や建物にがんがんつぎ込み、空前のバブル経済を作り上げた歴史の繰り返しだ。
実際、不動産関連融資に限ってみても、中国内ではほぼ倍増、結果として上海の不動産信託市場は暴騰を重ね、前年比で実に64%もの値上がりを記録した。内需の増大を祈願してマネタリーベースの政策を実施すると、株式市場と不動産が暴騰する、これは日本が味わった美酒ではなかったか。日本はいまだ二日酔いの真っ最中だけど。
しかし、耐久消費財や一般財を調べると状況は一変する。取引価格が下落しているのだ。その原因のひとつは、労働力の供給過剰による賃金の伸びが低迷していること。笑う他ない。先進国の投資を引き受けて、技術的に陳腐化した分野の労働を一手にまかない、先進国の雇用を奪ってやまない中国経済が、内需の不振で景気が停滞している。
この事実は、端的に問題を表している。つまり、高度な製造技術を要するプロダクトは、相対的に人件費率が低いのだ。デジカメを例に取ろう。最先端のデジカメの原価における人件費率は13%。高機能部品は40%を超えるが、その部品を調達するには海外から輸入する他ない。たかだか二割にも満たない人件費が圧縮されたとして、高機能なデジカメを中国で生産する必要があるのだろうか。勢い、労働集約的なプロダクトで、原価に占める人件費率が高いプロダクトを扱うビジネスほど、中国投資に熱心で、中国の貿易黒字を稼いでいるのである。
中国は、結局は先進国の低技術雇用者の職をリプレースしているに過ぎず、そこに大量のマネーをつぎ込んだところで国内市場では回収できないから、必然的に株式、不動産にマネーが流れていくと言う点で日本より始末に終えない。さらに、リプレースされる側の先進国の雇用は、対中投資が増えるほどに失われていく。
今回の人民元切り上げ問題は、アメリカの失業率問題に他ならない。というのは、アメリカの失業率が実勢で6%台にはりついて、”雇用なき景気回復”が次の大統領選挙の争点となることは明白だからだ。対中輸出など糞の役にも立たない解説であることはいうまでもない。
なお、中国からの輸入が日本のデフレを促進しているという議論は、バカバカしくて考える余地もない。貿易してデフレが起きるのであれば、貿易で経済を成立させていたオランダなど世界一安い物価の国になっているはずだ。自国の経済の停滞を他国の好調な経済のせいにするというのは間抜け以外の何者でもない。そういえば、デフレ中国原因説という盲説を流したのは野口悠紀雄とかいうバカのようだ。クズはできる限り速やかに死んで欲しい。なぜ日本は自分の経済政策のミスを構造化させた上で他国に責任を転嫁するのか理由が分からない。
Posted by kirik at 2003年09月17日 09:05実は元建てでの運用を考えていたりします 切込隊長BLOG 〓俺様キングダム: 中国元切り上げ...
Linked from 中国元切り上げ : Place of Peace... at 2003.09.18「アメリカ大都市の死と生」ばかりがとりあげられるジェーン・ジェイコブスだが、こ
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つか進んで安いもの輸入してピンピンチを招いてるのは
日本なんだもんなあ。
別に中国が押し売りしてるわけでもなし。
そんな難しい事は私にはよく解りませんが、
米は日本の米どころ、
新潟チャーザー村産が一番だという事は解ります。
今日も元気だご飯がうまい、日本御飯党の(ry
>オランダなど世界一安い物価の国になっているはず
同じ物価の下落とは言っても、
物価が下落する一方で、購買力が増大する場合と、
今の日本のように物価の下落にも増して購買力が下落していく場合がありますよね。
そこら辺はどうなのでしょうか。
中国に工場作って、そこに日本にいる中国人を強制連行して、そうすると日本国内で今まで中国人がやってた職が空くから、日本人失業者を突っ込んで、治安回復失業率減少、マンセーマンセー!なんて簡単にいくわけはないが、とにかく居酒屋とか客商売で日本語のあやしい中国人使わないでくれー。注文したものを正確に食わせろー。
>>Posted by: at 2003年09月17日 13:49
超勉強法じゃありませんでしたっけ?
と思ったら両方当たってるんですね。
↑
賃上げをしないどころか、仕事自体が無くなるかもしれない。
今まで外国企業は1ドル=8元くらいで現地の中国人労働者を雇ってたのに、切り上げになると1ドル=5元とかになってしまう。下手すると今までの倍以上に賃金コストが膨らむかも知れない。
そうすると、外資は中国で生産する意味が無くなるわけ。
バブルが到来の所に来て実際の内需が落ち込むと当然バブル崩壊→中国沈没になるわけですな。
>中国は、結局は先進国の低技術雇用者の職をリプレースしているに過ぎず、そこに大量のマネーをつぎ込んだところで国内市場では回収できないから、必然的に株式、不動産にマネーが流れていく
しかし中国、共産主義の風上にもおけませんなぁ(笑)
>なお、中国からの輸入が日本のデフレを促進しているという議論は、バカバカしくて考える余地もない。
これ、理解してくれる人少ないんだよね。
いくら説明しても駄目。感情が先走って、絶対に理解しない。
> なお、中国からの輸入が日本のデフレを促進しているという議論は、バカバカしくて考える余地もない。
んー、俺の体感では、そうじゃない。
工場が海外移転する過程でこれまで国内で中小下請けが泣く泣くサービスで付けてた付加価値を
ゴッソリ持っていかれた影響は大きい。
親会社が、『保守に必要だから』とか抜かして設計図面持ち出したり、
金型持ち出して、『紛失しますた』と嘘こいて中国で生産したり。
海外移転を機に、親会社は国内下請けから知的財産を盗んで、
それを売り飛ばしてコストを下げたようなもんだから、
中国での生産=中国からの輸入=日本のデフレ促進
は、ある程度正しいと思う。
>海外移転を機に、親会社は国内下請けから知的財産を盗んで、
>それを売り飛ばしてコストを下げたようなもんだから、
それはミクロとマクロを混同しているように思う。
貿易財の下落が原因で物価水準が下がるというのは、日本のデフレ理由の一割程度しか説明できないでしょう、恐らく。
どのような手段でコストを下げようと、知的財産が不正に流用されようと、デッドコピーの問題は中国への工場進出が流行する前から韓国やASEAN進出で露呈し続けてきた問題じゃないでしょうか。
デフレというのは、個人や企業の行動が何であれ、外生的にお金の価値が上がることです。デッドコピーを日本−中国間以上に流通させて、しかもFTAを締結して貿易に占める取扱高も大きかった1998〜2000年のアメリカ−メキシコ間では、今の日本以上にデフレがアメリカで起きていないとおかしいというわけです。
仮に日本が中国との貿易によってデフレを起こしているのだとすると、今の日本中国間以上に輸入比率が高い他の経済圏でも同様の問題が起きていないと連続性がないと。
日本では何らかの理由でデフレが起きているなら、間違いなく他の「構造的な」理由があるのでしょう。金融政策の失敗とか(笑)。
> で、結局切り上げられるのは西暦何年ぐらいですか?
早ければ、来年早々ではないでしょうか。
「ブルジョアジーは、あらゆる生産用具を急速に改善することによって、またすばらしく便利になった交通によって、あらゆる国を、最も未開の国までも、文明に引きずり込む。彼らの商品の安い価格は、どんな万里の長城をもうち崩し、未開人のどんな頑固な外国人嫌いをも降伏させずにはおかない重砲である。ブルジョアジーは、あらゆる国民に、滅亡したくなければブルジョアジーの生産様式を取り入れるように強制する」(『共産党宣言』)
いやぁ マルクスは偉大ですな。共産党宣言で共産党崩壊の史的必然を宣告し、
「資本主義的生産様式によって支配されている世界市場に引き込まれ、この世界市場によって諸民族の生産物を外国へ販売することが、主要な関心事にまで発展させられるようになると、奴隷制、農奴制などの野蛮な残虐さの上に、過度労働の文明化された残虐さが接ぎ木される」(資本論)
で、中国人による残虐事件の頻発をも予言している(w
Posted by: 切込隊長 at 2003年09月18日 01:16
>仮に日本が中国との貿易によってデフレを起こしているのだとすると、今の日本中国間以上に輸入比率が高い他の経済圏でも同様の問題が起きていないと連続性がないと。
つうか、もともと世界の製造拠点だった日本から中国に製造シフトしてるのが
問題なんで、他の国からみれば単に輸入先が日本から中国にシフトしてる
だけの問題なのではないかと思うですけどね。
>つうか、もともと世界の製造拠点だった日本から中国に製造シフトしてるのが
問題なんで、
製造シフトというか、段階的経済発展モデルでいうと、この場合単に比較優位が失われて失業が増えるわけで、その場合は普通インフレになる。
デフレになるのは供給力が過剰であり、かつ供給力を調整させるのを促進させる経済政策が乏しかったことが理由かと。
Posted by: at 2003年09月18日 12:24
>製造シフトというか、段階的経済発展モデルでいうと、この場合単に比較優位が失われて失業が増えるわけで、その場合は普通インフレになる。
たしかひところ実需の10倍くらいあったのでは>日本の供給力
過剰な供給力削減しても、減らした分中国にシフトしてれば相変わらず供給力過剰になるような。
アメリカが失業問題を中国に責任転嫁してるのは、日本のデフレを中国に責任転嫁しているのと一緒でしょ?
現実にアメリカの狙いは失業問題だとしても中国の通貨切り上げで実際にアメリカ国内の失業率が改善するとは思えないのですが。
人民元の切り上げで、中国は一気に金持ちになります。
13億の人間の生活レベルが上昇します。
まず、水が足りない。新しいダムは2年で埋まってしまう。
人口はますます都会に集中し、中国は食料輸入国になる。食糧問題勃発。
砂漠化問題も深刻化する一方。
そして、最も恐れられていた事が始まります。
富を手に入れた中国人は一挙にアジア、世界進出します。
世界中の資産を中国人が買い漁ります。
日本の土地はバブリーな中国人に借り上げられるでしょう。
一挙に不完全な経済大国となった中国は、もう誰にも止められません。
そして、5年以内に崩壊する。残るのは日本のバブル崩壊以上の傷跡。
焦らず、今までじっくりやってきた事を、これからも、じっくりやってゆくべきです。
しかし、中国は持ち上げられ、叩き落とされ、一気に崩壊します。
そして、そのつけを払うのはお人好しの日本人?
巨大な中国は常に生産側であるべきで、ピラミッドの一番下層であるべきです。
人民元の切り上げは、単に中国人を高飛車にさせ、崩壊を早めるだけで、何の利益にもなりません。
短時間のうちに似た内容を含む文を2度読んでビクーリ
http://tanakanews.com/d0916china.htm
> Posted by: at 2003年09月18日 22:27
> 短時間のうちに似た内容を含む文を2度読んでビクーリ
海外の経済誌で色々論じられているっぽい。
オリンピックまでは元が20%、バブルで+αで上がるっつう事ですかね?